パリ、オペラ地区での試食会

いよいよ、試食会開始です。
一日目は、催し時間内に自由にご来店、ご退席下さいとご案内をだしていたのですが、開始時間前から多くの方々がお見えになりました。

気が付けば、追加の席も満杯で壁際には立っておられる方々も。
お茶の説明をしなければならないし、てんやわんやで初日の写真を取れなかったり、参加者の皆さんと名詞交換を出来なかったりと残念なことばかりでした。

初日・2日目通じて皆さんに召し上がって頂いたお茶を、ご紹介いたしましょう。
最初に一煎目の冠茶を茶葉を多めにして、45度くらいまでうんと湯さましたお湯で濃いめに煎じて、飲んで頂きました。、飲まれた後の、参加者の皆さんの反応は大変興味深いものでした。弘煎茶は16日間覆いをかぶせたあと収穫されたオクミドリ品種のお茶で、ここでは冠茶として扱ったかなりうまみ成分のあるお茶です。本当に皆さん何ともいえない驚きの表情でした。
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ヨーロッパの方々には、“UMAMI”はやはり、なじみの無い味で、フランス語の堪能な黒田社長は“cinqième gout”つまりフランス人の認識可能な、塩辛さ・甘さ・苦さ・酸っぱさの四味にはない5番目の味、いわゆる海の味、と絶妙な表現をされました。
まず冠茶を飲んで頂いて味孔を洗い、口内を新たにしてチーズの味をより感じ易くするのが第一の狙いです。フランス人の方々には、一煎目のうまみたっぷりの冠茶の味はわかりにくく、全体的にうまみ成分のアミノ酸よりも渋み成分のタンニンの味を感じる、二煎目の冠茶や煎茶とチーズとのマリアージュを評価されておりました。
煎茶はやぶきた品種の山口煎茶を使用。いずれも単一畑の特徴豊かな宇治茶です。
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チーズの中ではSaint Maure de Tourraineと冠茶、ほうじ茶のマリアージュが最も人気でした。Saint Maure de Tourraineの牧草の枯草の薫りを、ほうじ茶がうまく引き立てる。そしてその青臭く田舎っぽい、テロワールを存分に表したチーズの味と冠茶の味のバランスが面白い、など貴重なご意見を頂戴しました。そのほかにもたくさんのご感想を頂きました。

*一煎目、二煎目と煎を重ねる事によって異なった強烈な風味を感じることができる。
*完全な発見でした。そのお茶はそれもこれも驚くべきものでした。風味と繊細さをちゃんと体験できました。とても楽しい試食会で其々のお茶にまつわる文化の説明もとても興味深かったです。
*チーズの風味はお茶の温かさのおかげで引き立てられているのを発見して驚きました。
驚くべき、しかも自然な組み合わせや風味の新しい世界を実際に発見出来ました。試食に出席した後、日本茶を勉強したくなったと同様にその新しい組み合わせを自分の料理に使ってみたくなりました。この素晴らしいマリアージュの発見に感謝しています。
焙じ茶はチーズの味と特質、ハーゼルナッツのような風味を引き立たせます。すごくいい組み合わせだと思います。

2012-05-28 201204211818316cd世界中のお茶の中でも最もストレスをかけない製造方法によって製茶された宇治茶。宇治茶は長い歴史の中、日本の文化と共に歩んできました。もっとも自然な状態で、まるでサラダのような葉っぱであるが故に、世界中のどんな料理とも相性がいいのです。宇治茶の製造プロセス、お茶の煎じ方、温度帯により異なった成分が抽出されるしくみ、などレジュメをもとに、わかりやすく説明させて頂きました。そして、日本文化におけるお茶、おもてなしの心、一期一会について、お茶の精神的な効用などもりだくさんにお話しさせて頂きながら、参加者の皆様はお茶とチーズの試食会を存分に楽しまれました。 終始Issé et cie の黒田社長様には、機知に富んだ通訳をして頂き、会場をなごやかな雰囲気で包んで頂きました。